大学院博士前期課程1年の松田遼太郎さん(愛工大名電高校出身)が、第85回応用物理学会秋季学術講演会(9月16~20日・新潟市の朱鷺メッセほか)でポスター賞を受賞しました。

 電気電子材料研究室(一野祐亮電気学科教授)に所属する松田さんは、「PLD 法におけるアブレーションプルームのモニタリングシステムの構築」と題して発表しました。

 超伝導体は、ある温度以下で電気抵抗がゼロになる性質を持っています。その中でも、YBaCu3Oy(YBCO)は安価な液体窒素の沸点温度(-196℃)で超伝導状態が得られます。YBCOの線材を作製する手法として主にPLD法が使われています。PLD法は、超伝導体原料にレーザーを当てて、対向する基板にYBCO超伝導薄膜を形成する手法です。PLD法ではプルームと呼ばれるプラズマが観測されます。プルームはチャンバー内の環境の変化や原料の状態に伴って色や形が変化するため再現性に課題があります。そのプルームの状態をその場で把握することでこれらの変化に対応することが可能になり、PLD法の再現性が向上するのではないかと考えました。そのため、本研究ではプルームを観察するシステムを構築し、さまざまな条件でプルームを観察し、薄膜とプルームの相関について検討しました。

 受賞に際して松田さんは、「研究成果を評価していただき,大変光栄に思います。1回の実験にとても時間がかかる上に、プルームという複雑な現象を対象としているため、私個人の力では進められない研究です。ご指導いただいた一野教授,研究活動に協力していただいた電気電子材料研究室、名古屋大学吉田研究室の方々をはじめとする、全ての方に心より感謝申し上げます。この受賞を糧にさらに研究に邁進したいと思います」と話しています。

受賞した松田遼太郎さん
受賞した松田遼太郎さん