トップ・アスリート対談
愛工大で得たものが、
次の夢への力をくれる。
硬式野球部4年 中村 優斗 / 卓球部3年 篠塚 大登
愛知工業大学に在学中の、硬式野球部4年生・中村優斗選手と、卓球部3年生・篠塚大登選手は、共に2024年、日本代表として世界の舞台で戦いました。
現役大学生でありトップ・アスリートでもある2人が、愛工大で培われたスポーツへの向き合い方や
これからの目標、キャンパスライフなどについて初対談しました。
(※このインタビューは2024年9月初旬に行われました)
Member
愛知工業大学 経営学部 経営学科
スポーツマネジメント専攻4年
硬式野球部 中村 優斗(なかむらゆうと)選手
プロフィール
2003年2月8日生まれ。長崎県諫早市出身。
最速160㎞のストレートと制球の良いスライダーが武器。長田小学校2年生の時に長田ジュニアクラブで軟式野球を始める。長田中学校時代に硬式野球に転向し、諫早農業高校へ進学。卒業後の進路は公務員を視野に入れていたが、愛工大硬式野球部の平井光親監督から声が掛かり、愛知工業大学へ進学。2023年には、愛知大学野球リーグ1部で春秋ともに最多奪三振のタイトルを獲得。2024年2月、野球日本代表「侍ジャパン」の欧州代表戦メンバーに、初の大学生選手4人のうちの1人として抜擢。3月7日の第2戦の3回から登板し、1三振を含む三者凡退に抑える。愛工大硬式野球部は愛知大学野球連盟1部リーグに所属。
愛知工業大学 経営学部 経営学科
スポーツマネジメント専攻3年
卓球部 篠塚 大登(しのづかひろと)選手
プロフィール
2003年12月23日生まれ、愛知県東海市出身。
左 シェーク裏裏オールラウンド攻撃型。5歳から卓球を始める。小学1年生で名古屋の卓伸クラブに入り活躍。愛知工業大学附属中学校(現 愛知工業大学名電中学校)に進学し、2017年の全日本選手権カデットの部で優勝。2018年の全中では男子団体優勝に貢献。愛知工業大学名電高等学校では1年時からインターハイに出場。愛知工業大学に進学後、2024年の全日本選手権でも結果を残す。8月、パリオリンピック男子団体戦のメンバーとしてシングルスとダブルスに出場、準決勝まで勝ち上がる。愛工大卓球部は2024年度東海学生卓球春季リーグ戦で男女アベック優勝、インカレで男子団体の部優勝。
Title.01 日本代表として戦った想い
2024年、お2人は日本代表として世界の舞台で戦いました。篠塚選手は卓球の男子団体戦メンバーとして、8月のパリオリンピックでダブルスとシングルスで活躍。中村選手は3月に侍ジャパンシリーズの代表に選出されてマウンドに上がり、欧州代表を相手に好投しました。振り返ってみて今のお気持ちは。
篠塚
パリオリンピックを終えて、皆さんにメダルを見せることができず、苦しくて悔しい思いです。男子団体戦準決勝のスウェーデン戦で、自分は第1試合のダブルスと第4試合のシングルスに出場し、第4試合で負けてしまったことで、2対0だったチームのリードを追いつかれ、挽回されてしまいました。負けた時は、本当に「これほどの苦しみは今までにない」というほどの感情を持ちました。卓球選手にとって、オリンピックは最終目標と言える場所です。まだこの敗戦を次に活かそうと考えるのも難しいほどですが、またあの舞台に立ってリベンジできるように、頑張っていきたいです。
一方で、オリンピック出場が内定してからの半年間は、1日も気が抜けず、毎日重圧を感じていました。終わった今は、身が軽くなり解放された感じがあります。
中村
今年2月に「侍ジャパン」のメンバーに選ばれた時は本当に驚きました。3月の試合でマウンドに上がった瞬間は緊張しましたが、初球で155kmを出せたことで少しホッとして、そこからは自分のリズムで投げることができたと思います。東京ヤクルトスワローズの村上宗隆選手をはじめ、野球をしていない人でも知っているだろうと思えるような、普段テレビで観ている方々と一緒にプレーさせていただけたことは大きな経験で、ずっと「これって現実のことなのかな?」という気持ちでした。プロ野球選手というのは、ベンチの中での声掛けだったり、食事面での配慮だったり、全てがアマチュア選手とは全く違うものだとわかり、一流になるためには、マウンド上以外のことも大事なのだと感じました。プロとして一線で活躍する一流の方々のお話を、近くで聞くことができて、とても良い勉強になりました。
Title.02 試合や練習への向き合い方
篠塚
試合にはどんなことを考えて臨みますか。自分は「考えすぎず、いつも通り戦う」という気持ちで試合に入ります。いつも以上のことをやろうとしてペースが狂ってしまうよりは、いつも通りの自分を出そうという感じで。
中村
自分も全く同じですね。いつも通りのプレーを試合で出すために普段から練習をしているので、常に平常心を持って「練習したことを出す」という気持ちで試合に挑みます。では、練習の時は何を意識していますか。
篠塚
練習には、試合で得た課題をもとに、どんな技術が効くかをイメージしながら取り組んでいます。卓球は、練習の時の返球と試合での返球が少し違うというか……。「練習では返せていたが、試合ではそのボールを返すのが難しい」という場合があるので、試合でのボールをイメージしながら、 自分も「試合であればこのボールをどう打つか?」を常に考えています。また、スクワット、ベンチプレス、懸垂などのウエイトトレーニングと、ジャンプ系などの瞬発力をつけるようなトレーニングを多く行っています。
中村
野球は、フィジカルというか体の部分が大事なスポーツなので、 1日1日の積み重ねが大切だと思っています。毎日のトレーニングであったり、食事であったり、そういった地道に積み重ねたものを試合に持ってくという感じです。トレーニングも、ただ体を動かしていては限界があるので、自分で負荷をかける部位を考えて、毎日違う刺激を入れながら、レベルアップするという考えで取り組んでいます。1日も後悔しないように、「誰よりも多く練習する」という気持ちでいます。
篠塚
試合前日の練習では何をしますか。
中村
前日は、いつもより疲れをためないよう、練習量を減らしたり、自分なりに上手に手を抜いたりするようにしています。一日前に何かしてもあまり変わらないと思うので、試合前はコンディションを整えて、全力で休むことを意識します。
篠塚
自分も同じタイプで、体を休めるようにしています。
写真:卓球レポート/バタフライ 提供
Title.03
大学の環境と練習への
サポート体制
大学生活とスポーツの両立という面で、監督やコーチの指導法、練習環境のメリット、チームメイトのことなど、愛工大のサポートを感じられるところは。
中村
硬式野球部の平井光親監督は愛工大出身で、プロ野球ロッテオリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)在籍中に首位打者を獲られた方。自分も今後はプロの世界で戦いたいという気持ちがあるので、プロを経験した方の生の声を、すぐそばで聞くことができることがためになっています。野球のことで言えば、バッター目線から見たピッチャーが投げるタイミングや変化球のことなど。生活面では、社会に出てからの行動など、人間性という意味でも勉強させていただいています。
篠塚
卓球部の森本耕平監督は、自由にやらせてくださる中で、気になったことがあればアドバイスをしてくださいます。卓球のアスリートは、海外の大会にエントリーして戦いながら世界ランキングを上げる必要があるのですが、「海外遠征してこの大会に参戦したいです」などと相談すると、まず自分の気持ちを尊重してくださいます。
また、高校3年生で進路を選ぶ際、進学せずTリーグのプロチームに入るという選択肢もありましたが、愛工大名電中から愛工大までを過ごした森本監督が何度も話し合いをしてくださり、進学を選ぶことにしました。
自分は中高大を一貫して名古屋電気学園で過ごしたので、中高でお世話になった方と、大学に入ってからも続けて関わりを持てることが強みです。愛工大名電高校卓球部の今枝一郎監督は、「こういう考えがあってもいいかもね」と、違った視点からのアドバイスをくださいます。愛工大名電中卓球部の真田浩二監督は、技術や戦術、体の使い方まで細かく指導してくださり、パリオリンピックにも帯同していただきました。
名古屋電気学園には、一人ひとりに合わせた細やかな対応をしてくださる先生方や監督、コーチが多いと思います。
中村
お互い寮生活ですが、卓球部ではどんな一日を過ごしていますか? 自分は学校で授業を受けて、16時半から練習開始です。朝と夜は寮でご飯を食べます。昼ご飯は自炊なので、鶏肉などをメインに脂質を減らし、タンパク質を増やして、サプリメントなども摂るようにしています。おやつは自由なので、学校内のコンビニエンスストアで、パンなどを買って食べています。
練習の面では、寮から野球のグラウンドまで近いことがありがたいですね。寮の部屋に着いてからその日の反省点を思い出したら、もう1度グラウンドに戻って練習することもできます。ウェイトトレーニングの場所も寮からすぐなので、あまりやる気が出ない時でも「やるしかない」という気持ちで励むことができます。この環境は、自分にとって愛工大に入って1番大きいメリットだったかなと思います。
篠塚
授業後、17時から21時頃まで練習しています。自分は食事に関してはわりと自由で、牛丼が好きなので、昼食は学内の「すき家」に買いに行くことが多いです。夜は寮にいる卓球部の仲間と外食しています。
愛工大は、全ての施設がこの1つの場所に整っています。午前中の授業がなければ、練習場に行ってサーブ練習をしてから学校に行ったりすることもできて、負担なくスポーツに打ち込める環境だと感じています。
遠征が多く、授業に出られないことも多いのですが、先生方のご理解もあり、中学生の頃からサポートしていただいています。
また、自分は卓球部の仲間が大好きなので、授業の合間や昼休憩の時などに雑談している時間がとても楽しく、心身が休まる気がします。
中村
自分は愛工大の中では、4年生の樋口新という左ピッチャーがいいライバルであり、仲間です。1年生の頃から一緒にトレーニングをして、共に成長してきたので、「樋口にだけは野球の成績で負けたくないな」という気持ちで頑張っています。
Title.04 学業との両立について
中村選手は4年生、篠塚選手は3年生と学年が違いますが、お2人が在籍する経営学部経営学科スポーツマネジメント専攻で学んでいる内容については。
中村
主に、スポーツと経営について学んでいます。普段はスポーツをする側ですが、授業ではスポーツで使われる道具や、道具を販売するお店など、自分たちが支えてもらっている側のことを学びます。道具を大切に扱わなければならないという気持ちは、大学に入ってからより一層感じるようになりました。
勉強に関しては、授業内容を聞いて一度で理解することが苦手なので、わからなかったことは授業後に先生に聞きに行くようにしています。毎回、とてもわかりやすく教えていただけるので、学生の目線に立ってくださる愛工大の先生方は、本当に親切だと思います。
また自分は、学校の課題などは溜めずに、トレーニングが終わった就寝前など、その日のうちに終わらせるようにしています。
篠塚
自分もスポーツに関する歴史や社会、経済や経営のことなどを学んでいます。経営戦略的な項目では、例えばスポーツクラブやスポーツイベントなどについての学びは身近に感じ、わかりやすいです。
2年生の時に、人体の細かい部分について教わる授業があり、それまであまり考えずに体を動かしていましたが、どの筋肉を使ってどこが動いているのかなど、体のことを深く知るきっかけにもなりました。
遠征が多く、あまり授業についていけない部分もありますが、わからないことは同じクラスの友達に教えてもらったり、遠征中に「この内容を学んでいるよ」と連絡をもらったりして、みんなに助けてもらいながら学校生活を送っています。学校の課題は、自分は結構溜めてしまう派ですね。
Title.05
大切にしている言葉、
自分を鼓舞する言葉
トップ・アスリートであるお2人が大事にしている言葉や、自分を鼓舞する言葉はありますか。
中村
小さい頃から何不自由なく野球に打ち込ませてくれた両親や、愛工大に誘ってくれた平井監督など、色々な人に支えられて今の自分があるので、そういった人たちに野球の結果で恩返しをするというのが、最高の形だと思います。自分がプロ野球選手になれたら、まず両親や平井監督が喜んでくれると思うので、そんな姿をイメージしながら努力することが、日々のモチベーションにもなっています。
篠塚
オリンピック代表に内定した後、日本代表チームの日高達也コーチに言っていただいたことが、ずっと心に残っています。「スポーツをしていると苦しいことも多いが、1度やめてラクになってしまうと、もうこの悔しさや嬉しさは感じられなくなる。選手でいる限り、苦しいのはみんな同じだよ」と言われました。当時はオリンピックへのプレッシャーが大きかったのですが、その言葉を聞いて、逆に少しラクになったというか……。「アスリートで苦しくない人はいないよな」というふうに思えて、心の支えになりました。
Title.06
個人としてチームとして、
これからの目標
篠塚
個人としては、常に自己新記録を目指します。やはり世界で勝っていかないと意味がないので、自分から積極的に海外の試合に参戦して、世界ランキングを上げることを目標にしています。愛工大のチームとしては、来年のインカレで、また男女アベック優勝したいと思います。
中村
自分は今年、ドラフト会議の年なので、個人としてはドラフト1位でプロに入って、プロで活躍する選手になりたいと思います。それには、愛知大学野球連盟秋季リーグ戦1部の結果次第で評価が変わると思うので、愛工大のチームで優勝して、全国大会である明治神宮野球大会に出たいと思います。
全面的にサポートしてくれる武井則近硬式野球部コーチ(左)
と森本耕平男子卓球部監督(右)
Title.07
名古屋電気学園、
愛工大を目指す人へ
中村
愛知工業大学に入学する前は、今の自分を全くイメージできず、出身地の長崎で就職しようと思っていました。でも愛工大に入って、「侍ジャパン」に選ばれてプロ入りを目指すようになりました。最初は自分自身に力がありませんでしたが、大学に入ってから努力をして、頑張ってここまで来ることができました。だから誰でも努力をすれば、何事もうまくいくと伝えたいですね。また、この愛工大には本当に成長できる環境があると思います。
篠塚
自分は愛知工業大学附属中学校、愛知工業大学名電高等学校、愛知工業大学で学生時代を過ごしてきました。とても環境がよく、自分の好きなことを伸ばせる学校だと思います。今は愛工大が楽しくて、来年も卒業したくないくらいです。皆さんもぜひ名古屋電気学園で、学生ライフを充実させてください!